一人親方がケガをした場合のリスクを軽減する方法
建設関連のお仕事に多い「一人親方」の場合、仕事中や仕事のための移動中、通勤中に災害に遭ってしまい、ケガをしてしまっても「自己責任」と言われてしまいます。
でも、それでは一人親方は大変困った状態になると思いませんか?
そこで今回は、一人親方がケガをした場合のリスクについて。そしてリスクを軽減する方法をお話していきたいと思います。
一人親方は、最後までご覧頂きたいと思います。
Contents
1: そのケガの負担は大きくないですか?
一人親方が仕事中(移動中や通勤中も含む)の災害によってケガをしてしまうと、一般的なサラリーマンや、大手工務店に勤めている人たちとは違い、次のような負担が親方自身に降りかかってきます。
(1)治療費が必要になる
ケガをすると早く治したいので、誰でも治療をすると思います。
ちょっとした切り傷や擦り傷なら、家にある常備薬で解決できますから負担というほどでもありません。しかし、仕事中や現場から現場への移動中。または現場への出勤途中に事故に遭ってしまったとすると、小さな傷だけでは済まないことは親方もご存じでしょう。
例えば、現場で動いている重機。みなさん安全第一で細心の注意を向けておられると思いますが、もし重機が原因でケガをしたとすると、大きなケガになることが想像できます。
また、重機では無くても、現場で掘られた溝などに足が滑って落ちてしまい、骨折ということもゼロではありません。
こうした状況になると、元請け会社に雇用されている従業員の方なら、会社が加入している労災保険が適用されますので治療費が補償されます。
いっぽう、一人親方の場合は元請け会社との間に雇用関係はありませんので、親方のケガが元請け会社の従業員と同じであっても(それ以上であっても)治療費は一切補償されませんので、ケガで辛い思いをしているタイミングで、治療費の心配まですることになります。
親方の心情としては、落ち着いて治療に専念するのも難しい状態になることも考えられます。
(2)収入が減る
治療費と同じように困るのが収入です。一人親方の場合、仕事中のケガが原因で仕事へ出られなくなっても、収入の補償は一切ありません。
元気なときは考えることもありませんが、実際に入院するとなると、入院中は現場へ出られませんので収入が途絶えてしまうことになります。
また、退院後もリハビリが必要になり、すぐに現場へ出られるような状態ではない場合、この期間の収入も途絶えてしまいますので、身体の状態だけではなく精神的にも辛い状況になることが多いです。
また、これは親方も現場で見られたことがあるかもしれませんが、ケガが完治していないタイミングで無理して現場へ出てきてしまい、さらにケガが悪化したという人は居ないでしょうか?
2~3日がんばって出てきたことで悪化して、さらに一ヶ月自宅療養となり、収入減が一ヶ月長引いてしまう。そんなことも考えられます。
(3)障害が残ると同じだけ仕事ができない
ケガによって障害が残ってしまうこともあります。こういった場合、ケガの前と同じように仕事をすることは難しくなります。
そのため、どうしても収入が減ってしまうことにつながりますし、現場によっては危険が伴うため入場できないことも考えられます。
(4)万が一死亡したとき
仕事中の災害で万が一死亡された場合、残されたご遺族は大きなショックと同時に、家族へ金銭的な負担も増えてしまいます。
- 来月からの収入
- 葬儀費用
- その他の手続き
特に収入と葬儀費用は、突然の事態ですからすぐに解決策が思いつかない方もいらっしゃいます。
(5)仕事が請け負えない
最近では現場へ入場するために、一人親方も「労災保険」へ加入することが条件になっているところも増えてきています。
こういった現場が今後増えてくると、一人親方で労災保険へ加入していない場合、仕事を請け負えなくなってしまいます。
また、労災保険に加入していないことが理由となり、これまで仕事を依頼してくれていた元請け会社から依頼が途絶える可能性もゼロではありません。
2: 仕事中のケガは元請けが何とかしてくれるの?
一人親方に必ずご理解いただきたいのが、元請け会社が仕事中に発生した親方のケガを何とかしてくれるのかということです。
(1)同じ仕事をしていても対象外
元請け会社の社員さんと親方が全く同じ仕事をしていても、親方が社員さんよりもハードで難しく危険な仕事をしていたとしても、仕事中の一人親方に発生したケガについて、元請け会社は何の補償もしてくれません。
親方によっては、現場を仕切っている元請け会社が「何とかしてくれる」と思われるかもしれませんが、そういったことをする義務は元請け会社にありません。
ここはいくら元請け会社と仲が良くても現実はシビアですから、必ず理解しておいてください。
(2)一人親方は自分で自分を守ることが必要
元請け会社が補償してくれないなら、誰がするのか。その答えは「自分自身」です。
一人親方は「個人事業主」ですから、自分の身は自分で守らなくてはいけません。そのためには、一人親方のために用意されている「労災保険 特別加入」を検討しておくことをおすすめします。
3: きちんと治療し生活するための予防策
(1)労災保険の特別加入
労災保険には、一人親方のために用意されている「特別加入」というものがあります。特別加入は、一般的な個人事業主には用意されていない制度ですから、建設関係に従事されている一人親方は優遇されていると言えます。
(2)特別加入できる一人親方とそうでない親方
特別加入できる一人親方と、加入できない親方があります。
一般的には、建築工事や土木工事に関連する工事業種なら加入できます。
いっぽう、建築関連に見えますが
- 建設現場のガードマン派遣業務
- 機械や器具のメンテンナンス業務
こういったお仕事の方は、加入できないケースが多いです。
ご自身のお仕事が加入できるのかどうか不安な場合は、当協力会までご相談ください。国家資格を持つ労務の専門家である社会保険労務士が、親方のご相談にお答えさせて頂きます。
4: 労災保険に加入していてケガをした場合のメリット
労災保険の特別加入を申請し認められると、次のようなメリットが出てきます。
(1)治療費負担の軽減
仕事中の災害によって治療が必要になった場合、治療費が全額負担されますので、親方は費用を気にすることなく治療に専念することができます。
(2)休業補償
労災保険の掛け金によって変わりますが、仕事中の災害によって休業しなくてはいけなくなっても、休業中の収入がゼロになることがありません。
これは気持ちの上で大変安心できることだと思います。
(3)万が一のときの補償
万が一、障害が残った場合や死亡した場合にも補償があります。
詳しい加入プランと補償内容については、こちらからご覧頂けます。←固定ページへリンクしてください。
5: まとめ
一人親方が仕事中の災害によってケガになるとリスクがかなり高まります。しかし、今回お話しました労災保険の特別加入を利用することで、リスクをかなり軽減できることになります。
他業種の個人事業主は加入したくても労災保険へ加入できません。理由は「特別加入」という制度がないからです。しかし、建築業に関連するお仕事をされている親方には、特別に用意されているのです。
こういった制度は、親方にとってメリットでしかありません。まだ労災保険に加入されていないのなら、この機会にご検討いただきたいと思います。
特別加入について、もっと詳しく知りたい。いくら掛け金が必要なのか知りたいという方は、遠慮なく当協力会までご連絡ください。