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労災保険の仕組みとは~一人親方が知っておくべきこと~

 
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労災保険という言葉は知っていても、どのような仕組みになっているのか、いまひとつ良くわからないのではないでしょうか。

 

どこかの企業に勤めておられる方なら知らなくても、何かあったときには雇用契約のある企業が、あなたに代わってあれこれ手続きをしてくれますから大きな問題になりません。

 

しかし、一人親方の場合、何かあった時は「自分」で対処することになります。でも、良くわからないままだと正しい行動を起こすのも難しくなりますし、そもそも労災保険の仕組みがわかっていないために加入していないのなら、全てが「自己責任」で終わってしまい、親方の生活が足元から大きく揺らいでしまうことにもなりかねません。

 

そこで今回は、労災保険などの仕組みや手続きに詳しい「社会保険労務士」が集まっている「関東一人親方労災保険協力会」が、まずは知っておいてほしい内容を解説していきます。

 

1: 労災保険とは?

労災保険という言葉をお聞きになったことはあると思います。しかし、どういった趣旨のもので、どのような内容なのかわかりづらいかもしれません。

 

特に、最近までお勤めされていた親方の場合ですと、勤め先が自動的に加入や申請などを行ってくれていたため、ご本人としては「そんなの加入してたのかなぁ」というくらいの感覚かもしれません。

 

でも、一人親方として仕事をこなしていくようになると、そのような感覚のままでは万が一のときに生活が維持できなくなる可能性があります。

 

(1)健康保険とは違います

「○○保険」という言葉を聞くと、多くの方がイメージされるのが健康保険。健康保険に加入していると、怪我や病気になって治療を受けても、費用の一部を負担するだけでOK。

 

じゃあ、労災保険とは、どう違うのかというとカバーする範囲が異なっています。

 

健康保険は治療費の一部を自己負担しますが、労災保険で治療をする場合、治療費の自己負担がありません。

 

また、怪我や病気によって休業せざるを得ない場合でも、休業補償給付を受けることで収入が途絶えている期間の生活を維持することができます。

 

(2)労働保険の一部です

労災保険は、労働保険の一部です。覚えておいていただきたいのは、「労働保険」という言葉の場合、労災保険と雇用保険を組み合わせた総称となります。

 

しかし、一人親方の場合は企業に雇用されている労働者ではありませんので、雇用保険の加入はありません。ということで、親方が覚えておくことは「労災保険」という言葉です。

 

(3)一人親方は特別なんです

基本的な話になりますが労災保険は、企業と雇用契約のある人が加入できる制度です。

 

  • 正社員
  • 契約社員
  • アルバイト
  • パート
  • 派遣

 

こうした働き方の人は「労働者」と呼ばれています。そして労働者は労災保険に加入することができます。

 

いっぽう、一人親方の場合はどうでしょうか?上の5つの働き方には含まれていません。しかし、正社員の方やアルバイトの方と同じように、同じ現場で同じような危険と隣り合わせで仕事を請負って働かれているはず。

 

もし上の5つの働き方しか労災保険へ加入できないのなら、一人親方は仕事上の原因によって災害にあったとき、何の補償もありません。いっぽう、企業と雇用契約のある方なら、親方と同じケガや病気をされたとき労災と認定されれば、治療費の自己負担もなく、休業している間の収入もある程度は補償されることになります。

 

このような違いが起こるのですが、一人親方にとっては大変不利な状態だと思われないでしょうか。

 

そこで国もこういった不公平感を懸念し、一人親方には特別に労災保険へ加入できるようにしています。

 

ここが大変重要な部分です。最近増えているフリーランスという働き方があります。イラストレーターやライター、カメラマン、ITエンジニアなどの職種に多いですが、こうした人たちは労災保険に加入したくてもできません。なぜなら国が認めていないから。

 

一人親方としては「特別だと言われてもお金が掛かるから損している」ように感じる方もおられるようですが、そんなことはありません。親方と同じように一人で仕事をしていても、加入できない職種の方がいらっしゃるのです。

 

そういう意味では、せっかく特別に加入を認められているのですから、万が一のことを考えても「やっぱりお金がもったいないから加入しない」という選択は大変損をしていることになります。

 

2: 労災保険の仕組みを理解しよう

労災保険の仕組みで理解しておきたのが、どういうケースが保険の適用範囲になるのかということです。

 

詳しい違いは後でお話しますが、次の2つの災害によるケガや病気が適用範囲になります。

 

  • 通勤災害
  • 業務災害

 

続いて労災保険の仕組みでわかりづらいのが加入手続きです。お勤めのときは意識しなくても、企業が自動的にやってくれていたので何の問題もありません。

 

しかし一人親方として働いている場合は、自分で加入手続きをする必要があります。このとき、国民健康保険のように自治体の窓口へ行こうかと考えられる人もいますが、労災保険に関しては自治体では受け付けてくれません。

 

また、仕事に関することなので「ハローワーク」を思い出される方もいらっしゃいますが、ハローワークは「雇用」に関することを行う場所なので違います。

 

一人親方が労災保険に加入しようと思われたとき、加入する窓口は当協力会のような団体になります。一旦、親方からの加入を当協力会が受付、代行して国の機関へ申請することで一人親方が加入できます。

 

この仕組みがわかりづらいため、面倒に感じて未加入のまま。そんな親方もいらっしゃるのではないかと思います。まずはインターネットで「一人親方 労災保険」と検索してみてください。

 

親方のお住まいに近い法人を選ばれても良いですし、全国からの加入を受け付けている団体を選ばれるのも良いでしょう。

 

「わざわざ探すのは面倒」という親方は、当協力会へご相談ください。相談したからと言って、当協会で加入しないといけない決まりはありません。

 

3: 労災保険が受けられる内容

労災保険に加入していて万が一のことが起こった場合、労災の状況によって次のような給付や補償給付を受けることができます。

 

(1)療養(補償)給付

業務災害や通勤災害によって起こったケガや病気の療養に必要な費用を給付。

 

(2)休業補償給付

療養のために労働することができないため、賃金を受けられなくなったとき、休業4日目から1日につき給付基礎日額の60%(特別支給金と合わせて80%)相当を給付。

 

(3)障害補償給付

治療が終わった後に障害等級1級から7級までに認定される障害が残ったとき、障害の程度に応じて一時金や年金を給付。

 

(4)遺族補償給付

業務災害や通勤災害によって死亡したとき、遺族へ一時金や年金を給付。

 

(5)傷病補償給付

傷病が療養開始後、1年6ヶ月を経過した日、または同日後において、傷病が治っておらず、傷病による障害の程度が傷病等級に該当する場合に一時金や年金を給付。

 

(6)葬祭料

死亡された方に葬祭費用を給付。

 

※すべて給付される金額は、傷病や障害等級などに応じて変化します。詳しくは当協力会にお尋ねください。

 

4: 労災保険で知っておきたい災害の種類

労災保険が適用される2つの災害について見ておきましょう。

 

(1)通勤災害

通勤災害とは通勤途中に遭った災害を意味しています。例えば通勤中に駅の階段で転んでしまいケガをした場合は通勤災害です。

 

対して、仕事帰りに仲間と居酒屋へ行って、お店の階段で転んでケガをした場合は、通勤とは無関係ですので通勤災害としては認められません。

 

通勤災害とは「就労に必要な移動途中による災害」ですので、合理的な理由がないまま通勤経路を外れた場所での災害は認められません。

 

ただし、日用品の購入や日常生活上に必要な最低限の行為による経路の外れは、通勤災害として認められることが多いです。

 

(2)業務災害

労働(業務)中に発生した災害です。

 

  • 自分の不手際が原因
  • 他人の不手際が原因

 

どちらも業務災害です。

 

気をつけたいのは、業務時間内であっても、業務に関係の無い私的なことで災害に遭った場合は、業務災害として認められません。

 

5: まとめ

一人親方にとって労災保険はわかりづらい仕組みかもしれません。でも、お話しましたように、一人で働いている人の中でも親方は特別に加入が認められている存在です。

 

フリーランスの多くは加入したいと思っていても加入できないのです。そのため、仕事上の打ち合わせで移動中にケガをしても、何の補償も給付も治療費の補助もありません。

 

しかし親方の場合は、労災保険の特別加入を利用することで、こうしたリスクをかなり軽減することができるのです。

 

未加入の親方には労災保険の仕組みを知り、わからないときは当協力会へ相談し、加入を検討してください。

 

また、現場へ入場するときには「労災保険の加入」が必須になっているところも増えています。せっかく仕事の依頼があっても未加入だから入場できず仕事ができないのはもったいないことです。

 

今回の内容を参考にして、できるだけ早く加入へ向けて行動してください。

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