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確定申告で一人親方の労災保険は経費になるの?知っておきたい処理方法

 
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一人親方が労災保険へ加入された場合、労災保険料は全国一律ですが、入会金や組合費、入会手数料などには加入を申し込まれた団体や組合や協力会によって違いがあります。

 

そのため、一人親方が年明けに確定申告を行おうとされたとき、労災保険加入に関係する費用を経費に計上し申告しても良いのかどうか悩まれることがあります。

 

今回は、わかりづらいと悩まれることの多い、労災保険の各費用を確定申告時に、どのように処理すれば良いのかを説明していきます。

 

1: 一人親方の労災保険とは

はじめに「一人親方」の労災保険についておさらいしておきたいと思います。

 

(1)一人親方とは

一人親方について正しく理解することが大切です。インターネットで調べると

 

一人親方 = 建設業をしている人

 

のように限定されているケースもありますが、これは間違いです。ただし一般的に建設業に関連する仕事の方に一人親方という働き方の方が多いため、このような誤解が生まれているのだと思います。

 

では、一人親方と呼ばれる働き方は、どのような定義がされているのかというと、例えば次のような特徴があります。

 

  • 仕事の元請けが必ずいる
  • 元請けの就業規則にしばられない
  • 一日の仕事量を自分で決められる
  • 仕事に必要な材料や道具などは自分で準備している
  • 仕事の報酬は出来高である
  • 元請けからの仕事を受けるかどうかを自分で決められる

など

 

大工仕事が出来るから、友人からの頼まれ事をやった。注文書や工事請負書などがないまま仕事をしている。好意でやった。

 

こういう働き方が主になっている方は、一人親方の働き方と似てはいますが「一人親方」と認められないことが多いです。

 

(2)一人親方の労災保険とは

一人親方は会社に属していません。そのため会社員のように社会保険(労災保険・健康保険)へ自動的に加入することができません。

 

ということは、親方と同じ現場で元請け先の社員が、同じ仕事をし、同じようにケガや病気になった場合、元請け先社員には仕事ができない期間の補償などが適用されますが、親方には何もなく、仕事ができない期間の生活費や治療費に関して自己負担することになります。

 

しかし、これでは不公平です。そこで厚生労働省が一人親方として認められた方には、特別に「労災保険」へ加入できる仕組みを用意しました。これが「労災保険の特別加入」というものです。

 

一人親方の場合、健康保険は国民健康保険へ加入します。年金は国民年金です。何もないのが労災保険ですが、ここで特別加入を利用することで親方も安心して仕事をすることができるようになります。

 

労災保険は任意加入なので、知らないままという親方もいらっしゃいます。もし、親方のまわりでご存じない方がいらっしゃれば、万が一のときのためにも教えてあげてください。

 

2: 労災保険は確定申告で経費になるのか?

労災保険の特別加入には、次のような費用がかかります。

 

  • 入会金
  • 組合費(または会費)
  • 入会手数料
  • 労災保険料

 

入会金や組合費、入会手数料は、親方が加入申し込みされる団体や組合、協力会によって異なります。労災保険料は全国一律ですので、どこで加入されても変わりません。

 

さて、こういった労災保険の特別加入に関係する費用ですが、確定申告のとき「経費」として計上できるのかというご質問は意外に多いものです。

 

結論から申し上げますと、労災保険料は経費にはなりません。保険料以外の費用は「必要経費」として計上することができます。

 

ただし、ここで注意しておきたいのが保険料以外の費用を、どのような仕訳で計上するのかということです。

 

一般的には、入会手数料は「支払手数料」で問題ないでしょう。組合費や入会金は「諸会費」として計上できます。

 

ポイントは、一度決めた仕訳科目をコロコロと変えないことです。例えば、今年から労災保険へ加入したとして、入会手数料を「支払手数料」として計上した場合、来年からも同じように処理しましょう。今年は「支払手数料」だったけれど、来年は「雑費」にしようというのはNGです。

 

3: 労災保険の処理方法

具体的な労災保険の処理方法を見ていきます。

 

(1)一人親方の場合

一人親方=事業主です。この場合、労災保険料は支払い経費になりません。次のように処理するようにしましょう。

 

(例)

労災保険料:15,000円

組合費:5,000円

支払い方法:現金

借方 貸方
事業主貸 15,000円 現金 20,000円
諸会費   5,000円

 

そして、確定申告時には「所得税確定申告書B」の、社会保険料控除(種類は「労災保険料」)の欄へ15,000円の部分を記載します。

 

労災保険料は、生命保険料のように証明書の添付は必要ありません。

 

(2)家族従事者の場合

家族従事者の労災保険料は、次のように処理します。

 

(例)

家族従事者の労災保険料:10,000円

組合費:5,000円

支払い方法:現金

借方 貸方
法定福利費 10,000円 現金 15,000円
諸会費    5,000円

 

4: 確定申告と一緒に知っておきたい2つのこと

確定申告の処理方法と一緒に知っておいていただきたいことがあります。それは、新型コロナウイルス拡大における労災の適用と、国民年金の免除制度です。

 

(1)コロナが原因での労災は?

新型コロナウイルスに感染した場合、人との接触は控えることになります。ということは、仕事へ出ることができません。

 

もし親方が新型コロナウイルスに感染した場合ですが、

 

  • 仕事による感染がわかる
  • 感染経路が明らか

 

こういった情報を元に、個別に労災認定の判断がされることになります。しかし、一人親方の場合は現場が頻繁に変わることも多いと思います。現場で一緒に働く人も、頻繁に変わる可能性も高いです。

 

そこで親方には、

 

  • いつ
  • どの現場で
  • 誰と
  • どういった仕事をしたのか

 

ご自身の行動を書き留めておいていただきたいと思います。こういった情報がないままですと、仕事で感染したのかプライベートで感染したのか判断が難しくなります。また、同一の現場で複数の感染者が確認できたかどうかを調べることも難しくなり、労災認定そのものが難しくなることも考えられます。

 

面倒ではありますが、新型コロナウイルスの感染がかなり落ち着くまでは、毎日の行動履歴を残しておきましょう。

 

(2)コロナによる収入減で国民年金の負担は?

もうひとつ、新型コロナウイルスの影響によって、仕事が減ってしまった場合ですが、国民年金の免除や猶予制度を利用できることがあります。

 

詳しい条件や手続き方法に関しては、お住まいの自治体窓口へ相談いただくのがベストです。

収入減になってしまい国民年金の支払いが苦しい場合は、無理せず、未納のまま放置せず、こういった制度があることを知り、賢く利用してください。

 

5: まとめ

一人親方の労災保険に関する費用を、確定申告ではどのように処理すればよいのかお話してきました。

 

間違えずに覚えておいて頂きたいのは、労災保険料は「経費」にはならないことです。ここを間違えてはいけません。

 

税理士さんや会計士さんへ任せておられる親方なら、こういった間違いは起こりませんが、ご自身で確定申告をされる場合には注意しておきましょう。

 

また、新型コロナウイルスによる労災認定や国民年金の制度に関しても、覚えておいていただきたいと思います。

 

知っていると損をしませんが、知らないと苦しいままということも現実的にはあります。

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