1人親方労災保険加入で注意しておきたい比較サイトや団体の特徴
1人親方にとって、いざという時に役立つのが労災保険の特別加入制度です。
万が一ではありますが、事故や災害が起こってしまい、これからの生活に不安を持ち続ける前に、親方自身でしっかりと準備しておきましょう。
Contents
1: 1人親方労災保険とは?
はじめに、一人親方労災保険について少しお話しさせていただきます。
そもそも労災保険とは、仕事中や通勤中に生じた事故や災害によって必要となった
- 治療費
- 休業補償
を保障する制度です。一般的には、企業へお勤めの方や、企業と雇用契約が発生している方に関しては、企業側が全額負担し労災保険へ加入しています。
そのため、現場で仕事をしているときや、現場と自宅の往復の間で事故に遭っても、治療費や休業補償がされますので、仕事ができない間のお金の不安をする必要はあまりありません。
しかし、一般的な労災保険には、次のような条件があります。
- 個人事業主
- 法人の役員
こういった方は加入できないことになっています。また、企業と雇用関係にない方も、企業は加入対象としていないため、万が一事故や災害に遭ってしまった場合、治療費は元より休業補償もされないという、大変困った状況になってしまいます。
しかし、これでは一人親方のような形で働かれている方にとっては大変不利ですね。そこで、労災保険には「特別加入」というものが用意されています。
一人親方の場合ですと、団体を通して手続きをすることで労災保険へ特別加入することができます。
2: 1人親方が労災保険へ加入する方法
一人親方が労災保険へ加入する場合は、特別加入を扱っている団体から申し込む必要があります。
民間の生命保険や損害保険のように、親方が保険会社と直接やりとりして申し込むことはできません。
都道府県労働局長の承認を受けた団体から申し込み、一人親方を「団体に加入する一人の労働者」とみなすことで、この制度を実現しています。
ここで難しいのが、特別加入団体を選ぶことです。労災保険に必要な費用や補償内容は法律で決まっているため、どの団体で加入しても同じです。全国どこでも同じですから、差を見つけることはできません。
しかし、団体の入会金や組合費は、団体の運営母体や収益状況によって異なります。
例えば、次のような違いがあります。
- 入会金が最初だけ1000円のところもあれば、毎年1,000円のところ
- 組合費が月々500円のところもあれば、毎月1,000円のところ
仮に組合費が毎月500円の場合ですと、1年で500円×12ヶ月=6,000円ですが、毎月1,000円必要な団体ですと、1,000円×12ヶ月=12,000円になります。
単純に見ても、1年間で6,000円の差が発生することになります。これは大きな違いです。
3: 1人親方が労災保険へ加入するメリット
一人親方が労災保険へ加入するのは任意です。そのため労災保険の費用がもったいないので「加入してない」という方もいらっしゃいます。
しかし、建設業では事故と隣り合わせのことも多いですし、他の産業にはない大変複雑な請負構造になっているため、万が一の場合の責任の所在が曖昧になってしまうことも考えられます。
特に一人親方の場合は、もともと元請け企業が加入している労災保険の対象外ですから、親方が仕事中や通勤途中に災害に遭ってしまったとしても、誰も治療や生活の補償をしてくれません。
治療費も全額自分で負担しなければなりませんし、休業中の生活費も何とかして工面しなくてはいけなくなります。
正直なところ、毎日の暮らしにストレスが掛かりますので、ゆっくり療養することも難しくなるでしょう。
このような状況にならないためには、今のうちに労災保険へ加入しておくことが重要です。もし、親方が労災保険へ加入していれば、次のようなメリットがあり、生活へのストレスも減少し、じっくりと焦ること無く療養に集中できるでしょう。
- 労災保険加入していると治療費の負担がなくなる
- 労災保険加入していると休業補償がされる
- 事故で障害が残った場合は障害等級によって補償される
また、次のメリットが最も大きいと思います。
「労災保険に加入している人しか現場へ入れないところが増えている」
親方の現場はいかがでしょうか?最近では大きな現場になればなるほど、元請け企業は労災保険へ加入している人でないと現場へ入れてもらえません。
もし、親方が新しい仕事を受けようとしても、労災保険に入っていないばかりに仕事が取れない。こんなことも起こりえます。
4: 手軽に使える労災保険比較サイトの信頼度
さて、親方が労災保険へ興味を持ち、どこで加入しようかと考えられたとき、身近で使っているスマートフォンから労災保険の比較サイトをご覧になると思います。
まず、労災保険の比較サイトに出てくる団体ですが、ネットだけで運営している団体もあれば、私たち「関東一人親方労災保険協力会」のように、ネットだけではなく事務所を構えて運営している団体もあります。
どちらが良いとは言えませんが、感覚としては「事務所がある」方が安心感も高いのではないでしょうか。
また、比較サイトを見ると「激安」「無料」という言葉が出てきます。ここで思い出していただきたいのは、労災保険料は全国共通だということ。
ということは、激安や無料というのは保険料ではなく、団体の手数料や年会費、組合費について書いているということです。ここはきちんと比較しておいていただきたいです。
激安や無料に引きつけられて、説明もそこそこに申し込みをすると、後から思っていなかった費用が請求された。そんなこともあり得ます。
ネットの比較サイトの全てが信頼できるかというと、他の比較サイトと同じで全部を信頼することはできません。
ひとつ言えることは、ネットだけで高利益を出そうとしている団体なのか、団体の運営母体が安定しているので、親方を助けたいという想いから立ち上がった団体なのか、どちらなのかということです。
どちらが親方にとって安心して申し込みできる団体でしょうか?
5: 賢く労災保険へ加入するポイント
親方の負担が少なく、スムーズに加入するポイントを見ておきます。
(1)加入団体
労災保険へ加入するには団体を通さないといけません。そこで最初のポイントは、どのような団体を選ぶのかということです。
団体によって補償内容や保険料が変わることはありませんので、それ以外の部分で選ぶ必要が出てきます。
例えば、
- 政治活動への参加がある
- イベントへの強制参加がある
得意な方は問題ありませんが、あまり得意ではない方なら、こういったことを要求する団体は選ばないのがおすすめです。
次に見ておくのが
- 入会金
- 月々の組合費
- 労災申請などに関する手続き費用
ここは団体によって変わってきます。例えば、月々の組合費が安すぎる団体には、手続き費用が高額になることが多いようです。
理想的なのは、
- 入会金は最初だけ
- 月々の組合費は安い
- 申請などの手続き費用は無料
何度も申し上げますが、保険料や補償内容は、どの団体でも同じです。それ以外の費用や条件をきちんと見ておきましょう。
(2)給付基礎日額
給付基礎日額についても、基本的にはどの団体でも同じです。
給付基礎日額は3,500円~25,000円までの幅があり、親方が補償内容に合わせて選ぶことができます。
ただし、団体によっては給付基礎日額が6,000円のみ取り扱っているというところもあります。
どのようなタイプが選べるのかも見ておきましょう。
6: まとめ
私たちは、一人親方こそ労災保険の特別加入を申し込んでいただきたいと思います。がんばって仕事をしているのに、万が一のときの補償がないというのは、あまりにも不公平だと思います。
まだ労災保険へ加入されていないのなら、この機会に私たち「関東一人親方労災保険協力会」へご相談ください。
国家資格を保有する社会保険労務士が、親方の加入をお手伝いさせていただきます。