労働保険と労災保険の違いとは?一人親方に必要な保険を解説
会社に雇用されず、自営業の個人事業主として建設関係の仕事をされている「一人親方」にとって悩ましいのが「保険」の加入に関する理解ではないでしょうか?
まわりの同業者や仕事を請け負っている元請けから「保険に入っておいてくださいね」と言われて調べても、
- 損害保険
- 生命保険
- 社会保険
- 労働保険
- 労災保険
こういった保険が出てきてしまい、自分にとって今必要なのはどの保険なのかわからない。特に「労働保険」と「労災保険」に関しては、言葉のニュアンスも似ているので、どうすればいいのかわからない。
そのため、本当はすぐにでも加入した方がいいのに、「分からないから」という理由で先延ばしにしてしまっている親方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで今回は、こういったケースをお一人でもなくしていただき、諦めずに必要な保険に加入していただくため、一番ややこしい「労働保険」と「労災保険」の違いをメインに解説していきます。
Contents
1: 労働保険と労災保険の違いはココ
「労働保険」と「労災保険」、似たニュアンスの言葉です。こういった言葉を正確に理解しているのは、企業の人事担当をされた方や、少し広い意味での経理を担当された方。または、資格取得のために専門的な知識を持っている方だと思います。
親方だけが「よくわからない」ということではなく、多くのサラリーマン達も理解していない人が多いのが実情だと言えます。
では、労働保険と労災保険の違いをお話していきます。
理屈が分かってしまうと、たいして難しいことではありません。この2つの関係は以下のようになっています。
労働保険 = 労災保険 + 雇用保険
労働保険とは「労災保険」と「雇用保険」を総称したものなのです。
では、労災保険と雇用保険とは何なのかというと、次のような性質を持っています。
■労災保険
一般に言われる労災保険とは、「労働者災害補償保険」を指しています。この保険は、労働者が業務によって被災した場合や、通勤途中に被災した場合による疾病・ケガ・障害などに対して保険給付を行う目的を持っている制度です。
具体的に表現するなら、仕事中の機械操作でケガをした場合、治療費やケガで仕事ができない期間(休業中)の収入の一部を給付してくれるということです。
また、仕事場へ通勤する途中に事故に遭ってしまった場合も、同じように治療費や収入の一部が給付されます。
■雇用保険
雇用保険とは、雇用契約を結んでいる会社との間で、雇用が継続できない状態になった方へ、保険給付を行う目的を持つ制度です。
例えば、建設会社へお勤めの方が、会社の経営状況の悪化に伴い解雇された場合、職業安定所へ申請し認定されると、一定期間に渡って保険給付されます。
労災保険と雇用保険は、このような目的を持っている制度なのです。ただし、ここで注意しておかないといけないことがあります。それは、
- 会社の代表者(一般的には社長)
- 会社の取締役
- 自営業の個人事業主
- 自営業の個人事業主の家族
こういった方達は労働保険の加入対象にならないということです。
ということは、会社との間に雇用関係のない「一人親方」の場合ですと、労災保険と雇用保険に加入することはできません。
このような仕組みなっているため、もし一人親方が仕事中にケガをしても、治療費も休業中の収入も、全く補償されないということになってしまうのです。
これは大変困った状態だと言えます。ケガを治療する費用の負担。仕事ができない期間の収入の負担。これら生活基盤を支えている「お金」を、ケガをした状態にも関わらず「何とか」しないといけないのですから。
そこで、一人親方に知っておいて頂きたいのが、次からお話する、一人親方のための「労災保険」です。
2: 一人親方が加入するべきは労災保険
一人親方が、まわりから「保険に加入してくださいね」と言われた場合、検討し加入するべきなのは「労災保険」です。
ただし、一人親方のための労災保険への加入は「義務」ではありません。法律的に申し上げますと「加入しなくても良い」ということになります。
でも、現場でケガをしてしまった場合。ケガの具合によっては数週間入院しなくてはいけない場合。万が一、ケガが原因で障害が残ってしまった場合。
いくら「自分がケガをしない自信がある」と言っても、現場では外的な要因で事故に遭ってしまうこともあります。
このように考えると、一人親方にとって安心して仕事ができて、家族の不安を少しでも軽くするためには「一人親方労災保険」への加入は「するべき」保険だと言えるでしょう。
また、一人親方労災保険(専門的には「特別加入」と言います)は、一人親方のために設けられた特権的な保険なのです。
最近増えてきている「フリーランス」の多くは、いくら労災保険に加入したいと思っても、こういった仕組みが出来ていないため「加入したくても加入できない」状態なのです。
しかし、一人親方に関しては用意されていますので、いつでも簡単に加入することができます。
3: 一人親方が未加入の場合に起こるデメリット
一人親方が労災保険の特別加入に入っていない場合、次のようなデメリットがあります。
- ケガや病気による治療費や入院費を全額自分で負担することになる
- ケガや病気が原因で仕事ができない間の収入がゼロになる
また、最近では労災保険に加入していない場合
- 現場へ入場させてもらえない
このようなケースも増えてきています。仕事の依頼があっても、労災保険に加入していないため仕事が受けられないというのは、親方にとって大きな損失(デメリット)ではないでしょうか。
4: 一人親方が労災保険に加入するメリット
次のような補償を受けることができます。
労災保険の適用を認められた場合、
- ケガの治療が無料で受けられます。
- 病気の治療が無料で受けられます。
- 障害が残った場合の一時金や年金
- 万が一、死亡した場合の遺族への一時金や年金、葬祭費
本人や家族にとって「大きな安心」を得られることになります。
5: 一人親方が労災保険に加入するときに選ぶべき団体や組合のポイント
いかがでしょうか?
一人親方にとって「労災保険の特別加入」は「義務」ではありませんが、将来の安心を考えるのなら「加入するべき」保険だと言えないでしょうか?
「でも、手続きが面倒かもしれないし」
このように不安をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。でもご安心ください。弊社をはじめ、全国に「労災保険の特別加入」が簡単にできる団体や組合、協会があります。
こうしたところに相談することで、比較的簡単に、そしてスピーディーに加入手続きができるようになっています。
特に、団体や組合、協会を選ぶときですが
- 手続きが正確で速いところ
- 会費が安いところ
- 追加費用が必要ではないところ
こういった部分に注意して選んでいただくと、親方が負担する出費もできるだけ少なく抑えることができます。
ぜひ、いろいろな団体や組合、協会を比較してみてください。
6: まとめ
今回は、労働保険と労災保険の違いをメインとして解説させていただきました。こういった保険に関することは、なかなかわかりづらいものです。
そのため「わかりづらい」から「加入を諦めた」という方もいらっしゃいますが、今回お話しましたように加入することで大きなメリットを感じることができますので、団体や組合、協会へ相談していただきたいと思います。
一人親方なら労災保険へ加入しておいて損はありません。万が一の状況は起こらないのが最善です。しかしリスクへの対処をしておいた方が、安心して暮らすことができます。
まだ加入されていない親方様は、この機会に検討してください。