一人親方になるにはどうすればいい?メリットと手続き一覧を解説します!
建設業や建築業などでは、自分自身だけ、自分自身と家族だけで事業を行う「一人親方」という働き方があります。
これまで雇用されていた会社から独立し、自分の力で稼いでいく働き方ですから、リスクもあればメリットもあります。
そこで今回は、これから一人親方になろうと考えておられるあなたへ、メリットをはじめ、どういった手続きが必要なのか。準備しておきたいことは何なのか。こうした基礎的なことをお話していきたいと思います。
Contents
1: 一人親方になるメリットご存じですか?
一人親方になるということは、会社に雇用されていたときとは違い「リスク」が伴います。そのため「やめておけ」という方もまわりにいらっしゃるのではありませんか?
しかし、世の中で成功している人の多くは、リスクを背負って独立し、自分の名前と仕事ぶりで雇用されていたときよりも楽しく働き稼いでいる人がいます。
一人親方として働くことは、リスクよりも次のようなメリットがあると言えるのです。
(1)仕事が自分で調整できる
会社に雇用されていると、仕事の計画や調整は業務命令ですから、あなたは常に従わざるを得ません。
しかし、一人親方になると自分の裁量で仕事の量を調整することができるようになります。
反面、ご自身で仕事のスケジュール管理をしておかないと、せっかく依頼を頂いた得意先に迷惑をかけてしまうことになります。
でも、一人親方になって働こうという方の場合、普段から他の人よりも仕事ができる方であるはずですから、これまでと同じようにスケジュール管理をすることで、こうした問題は解決できるでしょう。
それよりも、自分の暮らし方に合わせて仕事の量を調整できるのは、大きなメリットだと言えます。
例えば、先の三ヶ月は目一杯仕事を獲得して働き、その次の三ヶ月は、少なめの仕事量にして、プライベートを充実させる。雇用されているとできないことが、一人親方だと自分の裁量で選ぶことができるのです。
稼ぐこと(お金が沢山あること)は良いことです。しかし、それだけでは少し寂しくないでしょうか?これからの時代、プライベートの時間も充実できるような働き方を自分で生み出すことにメリットがあると言えるでしょう。
(2)単価交渉が自分でできる
会社に雇用されている場合、一定のところまでは昇給します。しかし、そこからは頭打ち。
こういった先輩達を見たことはないでしょうか?
一人親方の場合は、雇われているのとは違いますから、請け負う仕事の単価を交渉する余地を持っています。
一般的な労働での日当の相場としては、一人親方の場合、18,000~23,000円と言われていますので、雇用されているときの日当と比較しても、5000円以上高くなることがわかります。
(3)働き方を自分で選べる
一人親方は働き方を選べます。建設業に携わっている方ならご存じの2つの方法です。
- 請負
- 常用
請負は自分の責任が大きいため、利益が高くなります。常用は、一人親方ですが得意先に依存している比率が高いため、利益で考えると請負よりも低くなります。
請負は依頼された仕事全般の準備から完成までを行いますが、常用は得意先の指示の元で、労働力の提供が目的になります。
どちらが良い悪いということではなく、あなたに向いている働き方が選べるというメリットを理解してください。
2: 一人親方だからこそ負担が少ないポイント
一人親方だからこそ、独立するとき、事業を継続するときの負担が少なくなります。
(1)従業員がいないので人件費問題がなくなる
一人親方は、基本的に自分だけ。居ても家族。
会社のように従業員を雇用する必要がありませんので、仕事があってもなくても払わなくてはいけない人件費が不要になります。
また、人を雇用することで必要になる
- 広い事務所の賃貸費用
- 電話などの通信費用
これらも不要になりますので、事業を続ける上でかなり負担が小さくなります。
また、これは忘れがちなことですが、従業員がいると「社員教育」が必要になります。放っておいても育つことはありませんからね。
そして、社員教育には費用だけではなく時間と労力が必要になります。これも一人親方ですと必要なくなります。
(2)人間関係がシンプル
従業員が増えると、人間関係が複雑になっていきます。会社にお勤めだったとき、先輩達から愚痴を聞かされたことはないでしょうか?
こういった問題はストレス要因になりやすく、仕事への活力をそぎ落としてしまう原因になります。
一人親方の場合、従業員がいませんので複雑な人間関係が出来上がりません。シンプルな関係の中で、仕事へ打ち込みやすくなります。
3: 一人親方になるためにはやっておきたい手続き一覧
一人親方になるためには、次の手続きをやっておきましょう。
(1)開業届
何をおいても、開業届を提出しましょう。開業届がなくても仕事はできますが、あったほうが信頼度も増します。
また、税金面でも有利になります。例えば「青色申告」を行うことができるため、税優遇を受けることができます。
(2)口座開設
一人親方になったら「屋号」での口座を開設しましょう。
個人の口座でもいいのでは?と思われるかもしれませんが、屋号での口座を持っている方が次のようなメリットが出てきます。
- 事業で発生したお金の出入りが明確になる
- 確定申告のときスムーズに進みやすい
- 対外的な信頼性の向上につながる
一人親方で注意しておきたいのは、お金の流れが個人のものと事業のものとが、ごちゃ混ぜになることです。
プライベートの口座と事業の口座は必ず分けておくことをおすすめします。
(3)会計の方法
細かな出費や、入金の管理などが発生します。そのため、ご自身やご家族で「会計ソフト」を購入し活用されるのがベストです。
しかし、購入する費用がもったいない。購入しても使えない。という不安をお持ちの場合は、税理士へ顧問契約をお願いしましょう。
月額1万円~2万円の間で、ややこしい処理を代行してもらえます。そして、顧問契約しておくと、確定申告もスムーズに進みます。
自分が苦手なことは、対価を払って得意な人にやってもらう。これが事業をスムーズに進め、上手に稼いでいく方法だと言えます。
苦手なことに何時間も頭を悩ませ、労力を使ってやって、間違っていたら残念な気持ちしか残りません。それよりも、得意な人にお願いすると楽に確実に終わります。
(4)年金と健保
国民年金と国民健康保険には加入しましょう。どちらも「義務」なので忘れてはいけません。
自治体の窓口で加入手続きができます。
4: 一人親方になる準備はコレ!
準備でやっておきたい6つのことがあります。
- (1)ローン契約
- (2)クレジットカード契約
- (3)人脈
- (4)資金融資
- (5)事務所
- (6)倉庫
ローン契約やクレジットカード契約は、社会的信用によって使えるものです。しかし、一人親方に成り立てのときは、社会的信用が低いため契約できないことがあります。
在職中に契約を済ませておくのがスムーズです。
つづいて人脈ですが、これは在職中に作っておくと安心です。人脈ゼロで一人親方になると、最初の仕事を請け負うまで少し時間と労力が必要になります。
資金融資ですが、事務所や倉庫を借りる必要があるかたは、商工会主催の創業セミナーなどへ参加して、融資されやすい条件を整えておきましょう。
事務所や倉庫ですが、必要であれば借りることを検討しましょう。特に倉庫は機材の量や大きさによって必要になるはずです。
閉店している店舗を倉庫代わりに安く使えるところがないか探してみましょう。
5: 後悔しないために加入するべき3つの保険
一人親方になって忘れてしまうこと。そして、万が一ですが現場で事故やケガ、病気に遭ったとき後悔することをお話します。
一人親方が仕事でケガをした場合、保険に加入していないと
- 治療費
- 休業補償
これらがありません。ということは、ケガで働けない(収入がない)のに、治療費が必要(お金が出ていく)になると言うことです。
これ、ものすごく不安ですね。また、ケガによって障害が残ってしまった場合、ケガの前と同じようには働けないかもしれませんが、障害補償はありませんので収入が落ちてしまう可能性が出てきます。
こうした不安を少しでも軽減するため、次の3つの保険への加入を検討してください。
(1)社会保険
先ほどお話ししました、国民年金と国民健康保険への加入をしましょう。
建設業の方は、市区町村の国民健康保険と、建設業の国保組合があります。どちらかを選ぶようにしてください。
傷病手当や福利厚生などのサポートが手厚いのは、建設業の国保組合です。
(2)労災保険
労災保険は任意です。しかし、最近の現場では労災保険に未加入ですと入場できないところも増えてきています。
また、万が一の事故やケガ、病気のときの治療費や休業補償を受けられる保険なので、必ず加入しておかれることをおすすめします。
(3)民間保険
社会保険や労災保険でカバーできない部分をなんとかしたい。こういう場合は民間保険を検討してください。
建設業の方ですと、
- 賠償責任保険
- 収入保障保険
この2つがおすすめです。
6: まとめ
一人親方になるということは、リスクを背負いながらも、自分の名前と仕事ぶりで収入を得る方法を選んだことになります。
これは誰もが簡単にできることではありません。ほとんどの人は「安定」を捨てることができないからです。
しかし、あなたは一人親方を選ぼうと考えておられるのですから、それだけでも他の人とは違う存在だと言えるでしょう。
ぜひ、一人親方として成功していただきたい。このように私たちは思います。
そのためには、準備と保険の加入を忘れずに進めていただきたいのです。準備をしっかりしておくことで、事業をスムーズに、そして安心できる状況で進めることができます。