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一人親方が労災に遭ったら元請責任はどうなるのか?

 
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建設関係のお仕事に多い「一人親方」。この記事をお読みになっている方の知り合いの中にも、現場への通勤途中や現場での仕事中にケガをされて、しばらく仕事が出来なくなったという人がいらっしゃるのではないでしょうか。

 

人は自分自身に起こらないと、あまり真剣に考えることはありません。しかし、あなたがこの記事をお読みになっているということは、少なくとも「万が一」のときのことに不安をお持ちのため、じっくりと読んで知っておこうと感じられているはず。

 

そこで今回は、一人親方が労災に遭ったとき、そもそも仕事をあなたに依頼した「元請け」に責任があるのかどうか。一人親方として何をしておけばリスクを最小限にできるのか。これらのことについてお話していきたいと思います。

 

1: 一人親方とは、どういった働き方の人なのか

はじめに、労災で少しややこしい「一人親方」という働き方を正しく理解しておきましょう。

 

(1)一人親方とは

「一人親方」という言葉は、建設業の方の中では良く使われる言葉かもしれません。しかし、どういった人が一人親方なのかというと、曖昧なままになっていることもあります。

 

そこで一人親方とは、どういった働き方の人なのかを正しく理解しておいてください。

 

「一人親方」とは、建設業の親方だけのことではありません。建設業以外でも貨物の運送事業や漁船を使った水産事業、林業などにもいらっしゃいます。

 

このような特定の業界で「労働者を雇用せず」に、「自分自身と家族だけ」で事業を行っている「事業主」のことを「一人親方」と呼んでいます。

 

また、次のように言われることもあります。

 

「会社勤め」をしている「労働者」ではなく、自分で仕事の契約や進め方を決められる事業主。

 

最近の言葉で表現するなら「フリーランス」という言葉、意外に近いかもしれません。

 

(2)一人親方の現場は危険と隣り合わせ

一人親方は、どこかの会社に勤めている「労働者」ではありません。自分自身で仕事を決められる事業主です。

 

そのため、労働者のように仕事中や通勤途中、災害に遭ってしまいケガや病気をしても保障がありません。

 

しかし、実際の仕事を考えてもらうとわかりますが、どこかの会社に雇用されている労働者と親方の仕事内容は、大きく違ってはいないはず。

 

また、仕事中や通勤途中の危険性も、労働者の人たちと同じ。もしかすると、現場ではベテランの親方の方が危険度の高い作業をされている可能性もあります。

 

このような現状があるにも関わらず、一人親方に万が一の災害が起こっても、労働者のように自動的に「労災保険」が適用されることはありません。

 

一人親方は「事業主」ですので、自分自身で労災保険への加入を済ませておかないと、万が一の災害が発生し、ケガや病気になっても何の保障もなく、ただ収入が絶たれ、治療費の出費が増え、日々の生活が苦しくなっていくだけなのです。

 

2: 一人親方が労災に遭ったら元請責任はどうなるのか

一人親方が労災保険に加入していない状態で、もし仕事中にケガをした場合、親方へ仕事を依頼した元請けには、親方のケガの治療費や仕事が出来ない期間の収入保障を行う責任はあるのでしょうか?

 

(1)元請に責任はあるのか

原則としては、一人親方が現場でケガをしても、元請けが労災に関する保障をする責任はありません。

 

ただし、最近では裁判を起こすことで元請けに対して「安全配慮義務違反」による損害賠償が認められることもあります。

 

あくまでも「判例がある」ということだけですから、常にこのような結果になるとは言えません。

 

基本的には、一人親方が現場でケガや病気になっても、元請には親方の労災に対する保障を肩代わりして払う責任はないということを理解しておきましょう。

 

(2)元請の労災保険は適用されるのか

元請けの会社が人を雇用しているのなら、労災保険に加入しています。そこで、一人親方の中には、元請けが加入している労災保険の対象になるのではないかと考えておられる人もいらっしゃいます。

 

ここではっきりとさせておきたいのが、元請けの労災保険の適用を、雇用関係にない一人親方が受けることはできません。

 

あくまでも元請けの会社が加入している労災保険は、元請け、及び下請け会社と雇用関係にある人に対してです。

 

一人親方は元請けからの仕事をしていますが、雇用関係があるのではなく、仕事の契約関係があるだけです。

 

ここはきちんと理解しておきましょう。一人親方の労災における保障は、ご自身で加入していないと何もないということです。

 

(3)元請の証明は必要なのか

一人親方で労災保険の特別加入をされている場合、もし現場でケガや病気になったときですが、次のように勘違いされている人がいらっしゃいます。

 

「ケガをした=元請けに報告=労災保険を使う」

 

このような流れはありません。

 

元請けに報告する必要はありますが、労災保険を使うための申告は、親方ご自身が加入している団体や組合へ連絡してください。

 

「元請けに報告したから、労災保険が適用される」

 

このような考えは勘違いです。必ずご自身で組合や団体へ連絡してください。あくまで労災保険を使うということだけを見ると、元請けの証明は必要ありません。

 

3: 労災保険に加入しないと違反になるのか

一人親方が労災保険へ加入しないと、これは法律違反になるか?このように感じておられる親方がいらっしゃるかもしれません。

 

結論としては、親方が加入できる「労災保険の特別加入」は義務ではなく任意です。

 

加入するかしないかは、ご自身で決めることができます。

 

4: 労災未加入だと仕事が減る可能性と理由

労災保険へ加入しなくても一人親方は仕事ができます。加入していなくも義務ではありませんので法律違反ではありません。

 

でも労災保険へ加入していないと仕事が減る可能性も出てきています。

 

最近は元請けも現場の事故によって、労災保険未加入者のケガや病気に関して損害賠償請求される可能性があるため、労災保険へ加入している親方へ仕事を出すように変化してきています。

 

少し大きめの現場なら、一人親方が労災保険未加入の場合、入場できないという制限を設けているところも出てきています。

 

一人親方の労災保険の加入は、法律として見ると「任意」です。しかし現場全体を管理する元請け会社としては「義務」に近いと考えておきましょう。

 

5: 一人親方の労災加入方法

(1)労災加入手続き

労災保険へ加入するためには、特別加入団体として国から認められている

 

  • 団体
  • 組合
  • 協力会

 

などを通じて加入する必要があります。健康保険のように自治体窓口ではありませんので注意しておきましょう。

 

 

(2)労災加入の注意点

労災への加入を検討されるとき、次の点に注意しておきましょう。

 

  • 休業した場合の補償はどれくらい必要か
  • 加入した団体では、どのような活動が必要か
  • 保険料以外に必要な費用はいくらか

 

労災保険の保険料は、全国一律です。どこの団体に加入しても同じです。また、掛け金に対して補償額が変わりますが、この比率も全国で同じです。ということは、労災保険の加入費用で変わるのは

 

  • 入会金
  • 年会費
  • 申請などの手数料

 

この3つをチェックしましょう。

 

6: まとめ

一人親方は仕事の取り方や進め方に高い自由度があります。これは会社に雇用されていないから手に入るメリットです。

 

その一方で、会社に勤めていたときは自動的に掛かっていた労災保険は無くなっています。自分自身で行動し労災保険に加入しなければ、どれだけ真面目に働き続けても仕事中や通勤途中の災害によるケガや病気への補償はありません。

 

手に入れたメリットと、手放したデメリットを理解し、できるだけデメリットを少なくするように考えておきましょう。

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